Prologue
初めて会った日から、気付けば目で追っていた。
グレンと一緒に落ちてきたあいつを見た瞬間、形容しようのない衝撃が俺を襲った。
物語を語る時の真剣な顔、たまに見せる屈託のない笑顔も、全てが愛おしく感じるのに時間は掛からなかった。
リデル様の事を、忘れた訳ではない。だけどあいつといるのはひどく心地よくて。
だから――間者だと判明した時のショックは大きかった。
裏切り者と罵り、悲しそうな顔をしたあいつの話を聞こうともしなかった。
――皆と過ごした時の気持ちに偽りはないわ…
そんなの信じられるか!
…そう、よね
その時――あいつが無理やり作ったあの笑顔が忘れられない。
お前を囲む運命を知った今、ただ後悔だけが残る。
憎しみも悲しみもない。
に会いたい、ただそれだけだ。
「…カーシュ」
なあ#name1#、もし許されるなら
「私、あなたの事好きよ」
もう一度そう言って笑ってくれないか。
春はまだ
青いままか
(それは酷く滑稽な願い)
(君はもう願いすら届かない場所に行ってしまった)